養育費の計算方法|算定表と年収別ケース早見
離婚を現実として考え始めたとき、多くの方が最初に向き合うのが「養育費は月いくらになるのか」という計算の問題ではないでしょうか。
養育費は、裁判所が公表する養育費算定表(2019年改訂版)を基礎に、父母それぞれの年収と、お子さまの人数・年齢の組み合わせで決まるのが実務の原則です。
ただし給与所得者と自営業者で出発点が違う、相手の収入が正確に把握できないなど、計算の手前で足を取られるポイントがいくつもあります。
この記事では、民法と裁判所の算定基準、そして30万件を超えるご相談の現場感から、計算手順を丁寧に整理します。
この記事でわかること
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養育費算定表の読み方と、民法766条・877条・880条という法的根拠 -
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年収別・子の人数別の具体的な月額レンジ(給与所得者と自営業者) -
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相手の収入が不明なときに打てる、現実的な法的・実務的な打ち手
養育費の計算は「算定表・年収・子の年齢」で決まる
養育費の月額は、裁判所が公表する養育費算定表を基礎に、父母それぞれの年収と、お子さまの人数・年齢の組み合わせで決まるのが実務の原則です。算定表そのものは条文ではないものの、民法の扶養義務の考え方を具体化した実務基準として、調停・審判でも広く参照されています。まずは、養育費の背骨にあたる民法の条文と、算定表の成り立ちを押さえておきましょう。
算定表の法的位置付け(民法766条・877条・880条)
養育費の支払義務は、民法に根拠があります。中心となる条文は次の3つです。
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民法第766条:離婚後の子の監護について必要な事項(養育費を含む)を父母の協議で定めると規定しています。 -
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民法第877条第1項:直系血族および兄弟姉妹は互いに扶養する義務があると定めており、親から子への扶養義務の一般的な根拠になります。 -
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民法第880条:扶養の順位や程度に関して事情の変更があったときは、協議や審判でそれを変更・取り消しできると規定しています。
算定表そのものは条文ではありませんが、裁判所が「平成30年度司法研究(養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究)」を踏まえて2019年12月に改訂・公表した実務基準で、調停・審判でも広く参照されています。一般的には、この算定表に沿った金額が目安になると考えられています。
算定表は9枚|子の人数(1〜3人)×年齢区分(0-14歳/15歳以上)
算定表は、お子さまの人数(1人・2人・3人)と、年齢区分(0〜14歳・15歳以上)の組み合わせで、合計9枚に分かれています。お子さまが複数いる場合は、それぞれの年齢区分を組み合わせた表を選んで参照するのが基本です。
✍️ 筆者(専門家)の経験からの一言アドバイス
【結論】: 算定表を開く前に、「わが家が参照すべき1枚はどれか」を最初に決めてください。表を取り違えると、出てくる月額が一般的な目安から大きくズレてしまいます。
実は、私自身もこれまで多くのご相談をお受けしてきた中で、「相場はだいたい〇万円くらい」という曖昧な情報だけで口頭約束してしまい、後になって「うちは子どもが2人いるから違う表を見るべきだった」と気づかれる方を数多く見てきました。この経験から、最初の1枚を正しく選ぶことが、後悔の少ない取り決めの第一歩だと心からお伝えしたいのです。
養育費算定表の読み方|縦軸・横軸と給与/自営業の違い
算定表は、縦軸に義務者(支払う側)の年収、横軸に権利者(受け取る側)の年収をとり、両者が交差するセルに月額レンジが示されている、というのが基本構造です。ここに「給与所得者か、自営業者か」という列の区別が加わることで、読み方の精度が一段と上がります。
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縦軸=義務者(支払う側)の年収
算定表の縦軸は、養育費を支払う側(義務者)の年収です。お子さまと一緒に暮らしていない親が、ここに該当することが一般的です。
横軸=権利者(受け取る側)の年収
横軸は、お子さまを主に監護している親(権利者)の年収です。権利者に収入がある場合、養育費の金額は一般的にはその分だけ低めに算出されます。
これは、養育費が義務者のみの負担ではなく、父母が収入に応じて分担するという「生活保持義務」の考え方に基づくためです。生活保持義務とは、自身と同程度の生活を子にも保障する、父母にとって重い種類の扶養義務だと整理されています。
給与所得者と自営業者で参照する列が違う
算定表の年収欄は、多くが「給与所得者」と「自営業者」で別の列になっています。どちらも同じ「年収」と呼ばれることが多いものの、算定表では別の基準値として扱われる点に注意が必要です。
✍️ 筆者(専門家)の経験からの一言アドバイス
【結論】: 「年収」と一言でいっても、給与所得者の額面と、自営業者の課税所得はまったく別物です。最初にどちらの列で読むかを取り違えると、本来より高く出ることも、低く出ることもあります。
実は、私自身も相談現場で、「自営の相手なのに、給与所得者の列で読んでしまい、話がかみ合わないまま調停に臨んでしまった」というケースに数多く立ち会ってきました。この経験から、皆さんには算定表を開く前にまず「わが家はどちらの列か」を確定させてほしいのです。
年収別・計算ケーススタディ(給与所得者)
ここからは、給与所得者を前提に、代表的な年収パターンで月額レンジの目安を見ていきます。いずれも算定表上の一般的なレンジであり、住宅ローンの負担や特別な教育費などによって上下する余地があることを、先にお断りしておきます。
ケース1|義務者年収600万円・権利者年収200万円・子1人(0-14歳)
給与所得者の義務者の年収が600万円、権利者の年収が200万円、お子さまが1人(0〜14歳)という構成では、算定表上は一般的に月額4〜6万円程度のレンジに収まるケースが多いとされます。世帯としてはもっとも相談数の多いパターンのひとつで、このゾーンで悩まれる方が非常に多いのが実感です。
ケース2|義務者年収800万円・権利者年収300万円・子2人(15歳以上1人・0-14歳1人)
義務者年収800万円、権利者年収300万円、お子さま2人(うち1人が15歳以上、1人が0〜14歳)の場合、算定表の「子2人(第1子15歳以上・第2子0〜14歳)」の表を参照します。一般的にはおおむね月額10〜12万円程度のレンジが目安になると考えられています。お子さまの成長段階が上がると、算定表上の金額も一段階上がる構造です。
ケース3|義務者年収400万円・権利者年収100万円・子3人(全員0-14歳)
義務者年収400万円、権利者年収100万円、お子さま3人(いずれも0〜14歳)の場合、算定表の「子3人(全員0〜14歳)」の表を参照します。算定表上は一般的に月額6〜8万円程度のレンジが目安とされます。お子さまの人数が多いほど総額は上がりますが、一人あたりの金額は緩やかに調整される構造になっています。
なお、上記のレンジはあくまで算定表に基づく一般的な目安です。住宅ローン負担、特別な教育費、ボーナス・副業の扱いなどで増減する余地があり、最終的な適正額は個別事情を弁護士などの専門家と相談しながら決めていくことが望ましいと考えられます。
自営業者の養育費計算|課税所得からの算出
自営業者の養育費計算は、確定申告書の「所得金額の合計」を出発点に、実際には支出されていない経費(専従者給与や青色申告特別控除など)を足し戻して算出します。給与所得者と違い、「額面年収」がそのまま使えないところが、最初のハードルになります。
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自営業者の出発点は「確定申告書の課税所得」
自営業者の場合、算定表で参照する年収は、額面収入ではなく、確定申告書の課税所得に一定の調整を加えた金額が目安になります。具体的には、社会保険料控除や青色申告特別控除など、税務上の控除のうち実生活の支出ではない部分を戻す調整を加える、という考え方です。税務上の所得と、生活原資としての所得を区別する発想が、ここでは重要になります。
課税所得→給与換算の考え方
算定表には「自営業者の年収」として別欄があり、給与所得者の年収と横並びで比較できるように設計されています。一般的に、同じ月額養育費に対応する自営業者の年収は、給与所得者より低めの数字で対応する構造になっています。これは、社会保険料や必要経費の負担構造が給与所得者と異なるためです。
ケース|課税所得400万円・権利者年収120万円・子2人
義務者が自営業者で課税所得400万円、権利者がパート勤務で年収120万円、お子さま2人(いずれも0〜14歳)の場合、算定表上は一般的に月額6〜8万円程度のレンジが目安とされます。ただし、経費計上の妥当性や事業の実態によって扱いが変わる余地があるため、正確な額は弁護士など専門家に相談することが望ましいケースが多いと考えられます。
✍️ 筆者(専門家)の経験からの一言アドバイス
【結論】: 自営業者の相手に対しては、算定表の前提になる「数字そのもの」を正しく押さえるところから始めてください。ここが実態からズレていると、後でいくら計算し直しても適正額には近づきません。
実は、私自身も自営業者のご相談で、「相手が自分で経費を大きく計上していて、課税所得が不自然に低い」というお声をこれまで数えきれないほど受けてきました。この経験から、最初の数字の押さえ方こそが、計算の精度を決めると心からお伝えしたいのです。
相手の収入が不明なときの対処法
相手が収入を正確に明かしてくれない——これは、養育費計算の現場で最も多く立ちはだかる壁です。こうした場合、まず法的な開示手続を選択肢として検討し、そのうえで事前に打てる手段として、探偵業法に則った合法的な収入調査を組み合わせる方法があります。
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ありがちな状況|「自営だから分からない」「副業や歩合がある」
30万件を超えるご相談のなかで、最も多くいただくご質問のひとつが「相手の収入がわからない」というものです。現場では、次のようなパターンが頻繁に見られます。
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相手が自営業で、確定申告書を見せてくれない -
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会社員だが、副業や歩合給の存在が疑われる -
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別居後に勤務先が変わっており、現在の年収がわからない
法的手段|財産開示手続と第三者照会
養育費が調停調書や公正証書など「債務名義」になっていれば、民事執行法に基づく次の手続が利用できます。
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財産開示手続(民事執行法第196条以下):相手の財産情報を裁判所を通じて開示させる手続です。 -
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第三者照会(民事執行法第205条ほか):勤務先や預貯金口座について、金融機関・市町村・日本年金機構等に照会する手続で、2020年4月の改正で実効性が大きく向上したと言われています。
これらはいずれも、既に公正証書などの債務名義がある場合に、未払い対策や財産把握のために使える法的ツールです。取り決め前の話し合い段階では利用できない点に注意が必要です。
事前の打ち手|株式会社MRの合法的収入調査
一方、調停や強制執行に入る前の段階、つまり「これから話し合う」「これから算定表を当てはめる」という局面で有効なのが、合法的な手段による収入調査です。株式会社MRでは、全国14拠点のネットワークと探偵業法に則った手法で、勤務先の特定や公開情報の精査などを通じて、適正な年収を推計するための有力な手がかりを収集することが可能です。
✍️ 筆者(専門家)の経験からの一言アドバイス
【結論】:「問い詰めない、自分で調査しない」——この2つだけは、どうか守ってください。配偶者のスマホを無断で見ることや、GPSを無断で設置することは違法で、後々の調停・裁判でも不利に働きます。
実は、私自身も30万件のご相談の中で、「自分で調べようとして先に気づかれてしまい、その後の調査がやりにくくなった」という後悔のお声を繰り返し聞いてきました。この経験から、皆さんには法的に適切な手順で情報を集める道を選んでいただきたいのです。
算定表を使うときの注意点と書面化
算定表で導いた金額は「目安」であり、最終的な実効性を持たせるには、調整要因の理解と、書面化という2つの壁を乗り越える必要があります。ここを飛ばすと、せっかく計算した金額も、口約束のまま宙に浮いてしまいかねません。
住宅ローン負担・特別な教育費・ボーナス・副業の扱い
離婚後も義務者が、権利者と子が住む家の住宅ローンを支払い続けるケースでは、算定表の金額そのままではなく、一定の調整が検討されることがあります。住居費の負担分が養育費と重なりうるためです。
また、算定表でいう「年収」は、一般的に税込みの年間給与(賞与を含む)が基準です。ボーナスや歩合給、副業収入も、原則として総額に含めて計算するのが一般的と考えられています。副業があるにもかかわらず本業分のみで計算してしまうと、算定表の前提そのものが実態とずれてしまいます。
事情変更による増減額請求(民法880条)
一度決めた養育費も、民法880条の規定に基づき、事情の変更があれば増減額を協議・調停で請求できます。典型的なケースは、権利者や義務者の再婚、収入の大幅な変動、子の進学などです。一度決めた金額は原則として尊重されますが、状況次第で見直せる余地が法的に残されています。
公正証書・調停調書による書面化
算出した養育費の月額を、LINEのやり取りや口頭だけで約束しても、それは法的な強制執行の根拠(債務名義)にはなりません。厚生労働省の調査(令和3年度)によれば、継続して養育費を受け取れている母子世帯はわずか28.1%に過ぎません。このデータからも書面化の重要性がわかります。
強制執行認諾文言を入れた公正証書にしておけば、未払いが発生しても、訴訟を経ずに強制執行へ進める可能性があります。調停で取り決めた場合は、調停調書が同等の効力を持ちます。未払い時には、履行勧告、強制執行、財産開示、第三者照会といった手段を段階的に使うことになります。
まとめ|養育費計算の3つの要点
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算定表は父母年収×子の人数・年齢で決まる——裁判所公表の2019年改訂版を基準に、最初の1枚を正しく選ぶことが出発点です -
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自営業者は確定申告書の「所得金額」を出発点に換算——給与所得者とは別の列で読み、経費計上の妥当性にも注意が必要です -
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相手の収入把握が適正額の鍵——不透明なまま算定表を当てはめると、前提そのものがずれてしまいます
養育費は、お子さまが健やかに育つための権利です。適正な金額を導くためには、算定表を正しく使うことと同じくらい、「相手の収入をどこまで正確に押さえられるか」が問われます。そして、計算できたその金額が、実際に届いてこそ意味があります。株式会社MRでは、離婚協議や調停前の段階から、探偵業法に則った合法的な収入調査と、取り決め書面作成のサポートまで、一気通貫でご相談をお受けしています。まずは無料相談からお気軽にお問い合わせください。
当記事の監修者
- 氏名
- 岡田 真弓
- 経歴
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1968年東京都生まれ
2003年総合探偵社・株式会社MRを設立
2008年MR探偵学校を開校し、学長に就任
2016年一般社団法人日本ライフメンター協会を立ち上げ、代表理事に就任
2017年こころテラス株式会社を設立
- 紹介文
探偵業の現場で培った経験をもとに、「探偵の現場」や「夫を夢中にさせるいい妻の愛されルール」等の書籍を発売。
また、ビジネスリアリティ番組「令和の虎」にも出演し、あらゆるメディアを通じて、調査の実態や夫婦関係の在り方を伝えています。
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