離婚DVの慰謝料相場は?高額になるケースや請求の流れをわかりやすく解説

DVによる被害は2021年頃で約8万件と、年々右肩上がりに増加しています。その原因は様々ですが、増加していること自体は深刻に考える必要がありますし、自身が当事者になる可能性もあることを知っておく必要があるでしょう。

もし、DVの被害にあっている場合には別居や離婚によってパートナーと距離を置くことが大切です。そして、ある程度冷静な判断ができるようになったら、今後の親権や慰謝料について考えなくてはいけません。

本記事では、離婚を決断した人向けにDVにあった際の慰謝料相場について解説します。少しでも離婚後に気持ちが楽になるよう、ぜひ本記事の内容を参考にしてみてください。

DVの慰謝料相場はいくら?

DVの慰謝料相場は、50~300万円くらいとされています。約250万円近く幅があるのは、DVの被害度や婚姻年数などによって金額が異なるからです。つまり、DVの被害が酷いほど、結婚してからの期間が長いほど、慰謝料の金額は大きくなるとされています。

ちなみに慰謝料を請求するためには、証拠を集める必要があります。口頭で被害度合いを述べても、それが認められなければ相場通りの金額がもらえない可能性も出てくるので注意してください。

DVの慰謝料を決める要素

DVの慰謝料は先述したように50~300万円と幅があります。これは様々な要素を踏まえた上で決めるからであり、要素の内容次第では低い金額になってしまうことも十分に考えられます。このことを踏まえて以下で紹介する要素を参考に、どういった場合だと慰謝料が高くなるのかなどを確認していきましょう。

  • DVの期間や頻度
  • DVのよる怪我や障害の重さ
  • 婚姻関係の長さ
  • 養育すべき子供の人数
  • 加害者の年齢

被害の大きさはもちろんのこと、関係性や家庭環境にも金額は左右されます。それぞれの詳細をチェックしてみましょう。

DVの期間や頻度

DVの期間や頻度は、被害者の被害度合い示す重要な項目の一つです。期間が長ければ長いほど、精神的な苦痛、身体的な苦痛の蓄積は大きくなるため、その分だけ慰謝料は上がることが想定されます。

逆に期間が短く、頻度も少なければ被害が少ないとして増額要因に認められない可能性があります。

DVのよる怪我や障害の重さ

DVによって負ってしまった怪我や障害の重さは、慰謝料の金額に直接影響します。怪我が治るまでの期間や、障害の重さが金額に影響を与えますので、DVによって酷い怪我を受けてしまった場合にはその証拠として写真や診療の証明書を貰うようにしましょう。

また、ケガや障害だけでなく精神面のダメージも場合によっては慰謝料に加味されることがあります。DVが原因でうつ病などの精神的な病気が発症してしまった場合は、診断書があれば証拠として十分な効果を持つでしょう。

婚姻関係の長さ

DVによって婚姻関係に修復不可能な亀裂を与えることは、被害者へのダメージと言えるため慰謝料を決める要素となります。慰謝料の金額は婚姻関係の長さと関係しており、長ければ長いほど慰謝料の金額は大きくなるとされています。

養育すべき子供の人数

養育すべき子供の人数はDVによる離婚の慰謝料に影響します。そもそも離婚で慰謝料を決める際は養育すべき子供の人数も要素となるので、DVによる離婚も同じ考えで慰謝料に影響を与えます。子供が多いほど親権を持つ方は負担が大きくなるため、慰謝料の金額も大きくなるでしょう。

加害者の年齢

DVにおける慰謝料の額を決定する際、加害者の年齢も考慮されます。

基本的には、加害者が若く、社会的、経済的に未成熟な場合、慰謝料の額は低めに設定される傾向があります。

一方で、加害者が成熟した大人であり、安定した収入がある場合は、より高い慰謝料が要求されることが一般的です。

加害者の年齢は、その人の経済力や責任能力を考慮する際の重要な指標となるため、慰謝料を請求する際は相手の年齢についてもしっかりと弁護士に相談するようにしましょう。

DVによる慰謝料が高額になるケース

DVによる慰謝料が高額になるケースについて、以下では過去の判例を参考に一例としてまとめました。

DVの内容 慰謝料
  • 妻の体調や意思を無視し、性行為を強要し、応じなければ暴力を振るっていた
  • 婚姻期間は17年と長期間
  • 夫の暴力が原因で、妻はPTSDと診断された
  • 子供は2人
  • 子どもにも暴力が及ぶこともあった
800万円
  • 夫が妻に対して強い暴行を加えた
  • 妻に落ち度は認められなかった
400万円
  • 妻が夫に頼まれていた用事を忘れて出勤したことに立腹し、妻の勤務先に赴いて殴る蹴るの暴行を加えた
  • その結果、妻は、妻は約2週間の傷害を負った
  • 妻は長男と二男を連れて別居を開始し、保護命令を申し立てて保護命令が発令
  • 夫は保護命令が発令された後も妻と子ども達に接近して脅迫行為や嫌がらせ行為を繰り返した
300万円
  • 夫は妻に隠れて、オーストラリアの別荘で女性と同棲
  • 夫は妻にそのことが発覚した後、妻に対して、蹴るなどの暴行を加えた
  • その結果、妻は、通院加療約2週間を要する左膝挫傷等の傷害を負った
  • この判例では、不貞とDVの両方が認定されている
1,000万円

全ての例において、妻が暴行を受けていることは変わりませんが、婚姻期間や子供の数、被害度合い、不貞との同時認定など様々な要因によって高額な請求となっています。

DVによる慰謝料が少額になるケース


続いては、DVによる慰謝料が少額になるケースをご紹介します。

DVの内容 慰謝料
  • 妻に対して、婚姻から離婚まで暴力や暴言があった
  • 妻が慰謝料500万円を請求
  • 裁判所は、元夫のDVを有責行為として認めた
  • DVの程度や期間が短期間だったことから、高額な請求には至らなかった
100万円
  • 夫は妻に対して、約束に反して借金を繰り返し、返済のために子ども達のお年玉にまで手をつけた
  • そのうえ、ホステスとの交際を続けた
  • 妻に対して、物を投げるなどの暴力を振るっていた
150万円

DVがあった事実があっても、期間が短かったり、被害度合いが小さかったりすれば少額となるケースもあります。また、不貞が同時に認められるケースでも裁判所の判断で150万円程度に収まる例もありました。

自身が判例と同じような環境下にあったとしても、必ず同じような結果になるとは限らないことは知っておいた方が良いでしょう。

DVによる慰謝料を増額させるために必要な証拠

DVの慰謝料を少しでも増額させるためには、実際にDVを受けていたという証拠が必要になります。DVを証明する証拠には以下のようなものがあります。

  • 怪我や障害の実際の写真
  • 怪我や障害の診断書
  • DV被害の記録

怪我があった場合には、治りきる前に証拠として写真を残しておきましょう。また、怪我や障害の診断書があれば尚良いです。

DVの被害記録については、日記や誰かに相談した記録などが有効となってきます。友人へメールなどで相談した場合には、そういった履歴も証拠として効果を持つでしょう。

怪我や障害の実際の写真

怪我や障害が起きてしまった場合には、その部分の写真を撮って証拠として残しておきましょう。証拠写真は、怪我が鮮明に分かるように拡大したものと、どの部分の怪我なのか分かるような全体を写したものを残しておいてください。

また、あわせて写真にその時の状況や、どのようにして負わされた怪我なのかをメモなどと合わせておけば、より正確な情報として確認してもらうことができるでしょう。怪我は時間が経つと治ってしまうので、早めに撮影しておくことを推奨します。

怪我の被害度合いは慰謝料に大きな影響を与えるので、必ず証拠として残しておいてください。

怪我や障害の診断書

怪我や障害が発生し、これらに対して病院で治療を受けたりした場合にはその診断書を残しておきましょう。先述した証拠写真もそうですが、診断書もDVの証拠として有効です。

また、診断書は医師の客観的な証拠としても役立つため、万が一怪我を負った場合にはすぐに受信することを推奨します。受診した際は、DVを受けた旨を必ず伝えるようにしてください。

DV被害の記録

DV被害の記録とは、主に警察への相談履歴や日記などが該当します。日記の場合は、つらいことを思い出すことになってしまうかもしれませんが、DVを受けた時の状況や心情、日時などを明確に記しておきましょう。

警察への相談は、DVが深刻な場合には必ず行なっておいてください。相談した際に、援助や保護を求めていれば、保護命令を申し立てることも可能です。

DVに対して何かしらのアクションがあったことが証拠として残っていれば、それが慰謝料の増額に繋げられるため、DVを受けた場合は黙りこまずに相談をするなどして行動をとるようにしましょう。

DVの慰謝料を請求するまでの流れ

DVの慰謝料を請求するまでの流れは、主に以下の通りです。

  • 話し合い
  • 調停の申立て
  • 裁判の提起

詳しく解説します。

話し合い

DVに関する慰謝料請求の流れの初期段階は、話し合いから始まります。この段階は、加害者との直接的な対話を通じて、被害者が受けた苦痛や損害に対する補償を求める機会です。

話し合いの理由は、裁判外での解決が双方にとって時間的、経済的負担を軽減するためです。

ただし、話し合いでも解決しない場合は、法的手段を取るしかないでしょう。

調停の申立て

話し合いで解決しない場合は、次に行うのが調停の申立てです。

調停の申し立ては、裁判所を介した公式な手続きをし、専門家の介入を通じて双方の問題を解決するために行います。

調停では、裁判所の調停委員が加害者と被害者の双方の意見を聞き、双方が納得できる解決策を提示します。

裁判の提起

調停でも話がつかなかった場合は、最終手段として、裁判を行います。

裁判の提起の主な理由は、話し合いや調停での解決が不可能な場合、法的な判断を通じて慰謝料の請求を実現するためです。

具体例として、DVの被害者が裁判所に提訴し、加害者による身体的、精神的な虐待の証拠や被害の詳細を提出します。

医療記録や目撃者の証言、写真などが重要な証拠となり、裁判ではこれらの証拠に基づいて、被害者が受けたダメージに見合った慰謝料の支払いを求めることができます。

DVの慰謝料に関するよくある質問

最後に、DVの慰謝料に関するよくある質問の回答をします。

Q. DVの慰謝料はいつまで請求できる?

一般的に、DVによる慰謝料請求の時効は、被害を受けた事実があった日から3年です。

ただし、被害者の命や体の侵害があるとみなされた場合は5年まで延ばせます。

Q. 離婚せずにDVの慰謝料の請求はできる?

結論からお伝えすると、被害者が離婚せずに慰謝料を請求することは可能です。

慰謝料請求の根拠は、DVによって被害者が受けた精神的及び身体的苦痛に対する補償となります。

DVという行為が発生し、被害者が精神的、物理的な苦痛を受けたかどうかが重要な項目であるため、十分請求できるでしょう。

Q. 未婚でもDVの慰謝料は請求できる?

恋人や彼氏、婚約者、内縁関係など未婚であっても,DVによって精神的苦痛を受けた場合は慰謝料の請求は可能です。

被害者がパートナーから身体的、精神的な虐待を受けたという事実があれば問題なく慰謝料請求をできます。

例えば、同棲しているカップルの一方が他方に対して暴力を振るった場合、被害者は医療記録や警察への通報記録、目撃者の証言などを証拠として集め、これをもとに慰謝料を請求することが可能です。

この際、被害者と加害者が法的に結婚しているかどうかは、請求の可否に影響しません。

Q. DVの証拠がないと慰謝料は請求できない?

DVで慰謝料をもらうなら、証拠が重要です。

暴力を振るわれた証拠がなければ、相手に否定されてしまい、裁判をしても慰謝料が認められないケースがあります。

主な証拠品として使えるのは、以下の通りです。

  • ケガをした部分の写真
  • ケガに対する病院の診断書
  • 暴力を振るわれている時の音声や動画

Q. 慰謝料と養育費はどう違う?

慰謝料も養育費も離婚時に請求はできますが、どちらも異なる性質を持っています。

慰謝料は、DVや不倫などで精神的苦痛を味わった代償として支払われるのに対し、養育費は子供を育てて行くために必要な費用になります。

まとめ

DVの慰謝料相場は、50~300万円程度となりますが、実際に請求する際はDVを受けたという証拠がないといけません。

暴力の傷跡を写真に残しておいたり、音声をとっていたりなどが慰謝料を請求する際の強い証拠になります。

精神的な負担の度合いや婚姻関係の期間、DVを受けていた期間などによって費用相場が変わってくるので、証拠を持った上で慰謝料請求の相談を専門家にするようにしましょう。

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