養育費調停とは|申立の流れ・必要書類・費用・算定表の使い方と不成立時の審判移行まで実務解説
離婚の協議で養育費の金額や支払方法が折り合わず、話し合いが行き詰まったとき、次の一手として家庭裁判所に申し立てるのが「養育費調停」です。
本記事では、家事調停の申立手続きから添付書類、収入印紙1,200円の内訳、算定表の使い方、期日の進行、調停不成立後の審判移行、調停調書による強制執行までを、実務目線でわかりやすく整理しました。
離婚協議が平行線の方、すでに離婚済みで養育費が未払いの方も、読み終わるころには次に取るべき行動が見えるはずです。
なお本記事は一般的な法的情報の解説であり、個別の法律相談ではありません。
具体的な判断は必ず弁護士にご相談ください。
この記事でわかる3つのこと
- ●養育費調停の申立手続きと添付書類、収入印紙1,200円の内訳
- ●算定表(裁判所2019年改訂版)の見方と、調停期日の運用・所要期間の目安
- ●不成立時の審判移行ルートと、未払い時の強制執行・第三者からの情報取得手続。株式会社MRの相談現場で見えた揉め方の3類型
養育費調停とは|民法766条と家事調停の位置づけ
養育費とは、離婚後に子どもを監護していない親(非監護親)が、子どもを監護する親(監護親)に対して支払う、子どもの生活費・教育費・医療費等です。根拠条文は民法第766条で、父母が協議離婚する際に「子の監護に要する費用の分担」を定めるべきこととされています。協議で金額や支払方法が決まらない場合、家庭裁判所が定める仕組みになっており、その入口となるのが「養育費調停」です。
養育費は本来、夫婦の協議で決められれば家庭裁判所に行く必要はありません。しかし、相手が支払いを拒んだり、金額の希望が大きく開いたりして合意に至らない場合に利用されるのが養育費請求調停(または養育費の額の変更調停)です。家庭裁判所の調停委員(多くは男女ペア)が間に入り、双方の収入や子どもの人数・年齢を踏まえて合意形成を目指す手続きで、家事事件手続法に基づく「家事調停」のひとつに位置づけられます。
調停は裁判ではなく「話し合いの場」ですが、合意内容は調停調書にまとまり、確定判決と同じ法的効力を持ちます(家事事件手続法268条1項)。調停調書があれば、未払いが発生した場合に強制執行で給与差し押さえ等を進めることができます。
当社にいらっしゃるシングルマザーの多くは「離婚を急ぎたくて、養育費を口約束で済ませてしまった」と振り返ります。一般的には、口約束で決めた養育費は途中で支払いが止まる事例が後を絶ちません。協議で合意できるとしても、必ず公正証書または調停調書として書面化しましょう。書面の有無が、数年後の生活を大きく左右します。
協議・調停・審判の違い|どの段階で調停を選ぶか
養育費の取決めは段階的に整理できます。協議が大半を占める一方、合意できない場合は調停に進み、調停でも合意に至らなければ審判へ移行する流れです。

| 段階 | 概要 | 法的効力 |
|---|---|---|
| 協議 | 父母間の話し合い | 合意書のみ。公正証書化で執行力 |
| 調停 | 家庭裁判所で調停委員を介した話し合い | 調停調書=確定判決と同等の効力 |
| 審判 | 調停不成立時に裁判所が金額を決定 | 審判書で決定 |
養育費だけを単独で申し立てるケースもあれば、離婚調停と同時に申し立てるケースもあります。離婚自体が未成立なら離婚調停との同時申立てが効率的で、すでに離婚済みで養育費だけが残っているなら養育費請求調停を単独で申し立てます。すでに養育費の取決めがあって金額の見直しをしたい場合は「養育費の額の変更調停」になります。
なお、養育費は離婚成立後でも請求できます。離婚時に取決めをしなかった場合でも、子どもが原則20歳になるまで(民法成年年齢引下げ後も実務上は20歳まで、または大学卒業時までと定めるケースが多い)の養育費を、後から家庭裁判所で求めることが可能です。
養育費調停の申立手続き|流れと必要書類
ここから具体的な申立手続きを整理します。
1 管轄の家庭裁判所
申立先は相手方(非監護親)の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で定めた家庭裁判所です。離婚調停と同時申立ての場合も同じ管轄になります。管轄裁判所は裁判所ホームページ「裁判所の管轄区域」で郵便番号から検索できます。相手の住所が分からない場合は、住民票の附票や戸籍の附票で追跡することができます。
2 必要書類のリスト
家庭裁判所に提出する基本書類は次のとおりです。実際の運用は管轄の家庭裁判所で多少異なるため、申立前に窓口に確認することをおすすめします。

- ●養育費請求調停申立書(または養育費の額の変更調停申立書)
- ●未成年者(子)の戸籍謄本(全部事項証明書)1通
- ●申立人・相手方の戸籍謄本(離婚後に別籍の場合は双方の戸籍謄本)
- ●申立人の事情説明書、進行に関する照会回答書、子の監護に関する陳述書(裁判所書式)
- ●申立人の収入資料(直近の源泉徴収票、確定申告書控え、給与明細3か月分など)
- ●相手方の収入資料(取得できる範囲。源泉徴収票の写し等)
- ●子どもの学費・医療費・特別支出が分かる資料(必要に応じて)
申立書の書式は裁判所ホームページからダウンロードできます。記入例も公開されているため、本人申立てを考えている方は事前に印刷して下書きすると整理しやすくなります。
3 申立費用と郵券
申立てに必要な実費は次のとおりです(2026年5月時点の運用)。
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 収入印紙 | 子1人につき1,200円 | 申立書に貼付 |
| 連絡用郵券 | 数千円程度 | 管轄裁判所により金額・内訳が異なる |
| 戸籍謄本 | 1通450円 | 本籍地の市区町村役場で発行 |
収入印紙は子ども1人あたり1,200円で、子ども2人なら2,400円、3人なら3,600円となります。これは家事事件手続法別表第二の「家事調停事件」に対応します。郵券(連絡用郵便切手)は調停期日や調書の送達などで使用するもので、内訳と総額は申立先ごとにあらかじめ指定されます。窓口で「養育費請求調停の郵券一覧」を確認しましょう。離婚調停と同時申立ての場合も、養育費分の印紙は別途必要です。
4 申立てから第1回期日までの流れ
申立書を提出すると、家庭裁判所は1〜2週間ほどで内容を確認し、双方に第1回調停期日を指定します。申立てから第1回期日までは概ね1〜2か月を見込んでおくと現実的です。期日通知書には日時のほか、出頭の心得や注意事項が同封されます。
申立書を提出すると、相手方にも副本が送達されます。送達された時点で相手は「養育費調停を起こされた」と気づきます。一般的には、調停の連絡を受けた直後に相手が転居してしまう事例も耳にします。住所が判明しているうちに申立てに踏み切ること、申立て前に勤務先や口座情報をできる範囲で把握しておくことが、後の履行確保にもつながります。
養育費の金額決定|算定表の使い方
調停の場では、裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表」(2019年12月改訂版)が事実上の基準として用いられます。算定表は、父母双方の年収・給与所得か事業所得かの別・子どもの人数と年齢区分(0〜14歳/15歳以上)によって、月額の養育費の目安を示したものです。
1 算定表の見方
算定表は子ども人数・年齢区分の組み合わせで複数のシートに分かれており、たとえば「養育費・子1人表(0〜14歳)」「養育費・子2人表(第1子15歳以上、第2子0〜14歳)」のように使い分けます。それぞれの表で、横軸に義務者(支払う側)の年収、縦軸に権利者(受け取る側)の年収を取り、交点のセルが月額の目安(例: 4〜6万円)になります。
年収は、給与所得者であれば源泉徴収票の「支払金額」、自営業者であれば確定申告書の「所得金額」(青色申告特別控除や事業所得算定上の調整あり)を用います。源泉徴収票の「支払金額」と「給与所得控除後の金額」を取り違えないよう注意が必要です。
2 算定表からズレる事情
算定表はあくまで標準的な目安であり、次のような特別な事情がある場合には増減の主張が可能です。
- ●子どもに私立学校・塾・習い事の費用がある(学費加算)
- ●子どもに継続的な医療費・療育費がかかる
- ●義務者が再婚し、扶養家族が増えている
- ●権利者が病気・障害で就労が困難
- ●義務者の年収が算定表の上限(給与2,000万円・事業所得1,567万円)を超える
これらの事情は、調停の場で根拠資料(学費納入通知、医師の診断書、再婚相手の扶養家族証明等)を提出して主張します。主張するには根拠資料が必要である点が、調停の重要なポイントです。
3 養育費の終期
養育費の終期は、原則として子どもが20歳に達する月までと定めるのが標準的な運用です。民法改正で成年年齢が18歳に引き下げられましたが、養育費の終期は親の経済力や進学事情を踏まえ、実務では従前どおり20歳までが多く、大学進学が見込まれる家庭では「22歳に達した後最初の3月まで」とするケースも見られます。終期は調停の中で双方が合意すれば、柔軟に定めることができます。
調停期日の進行|1回あたりの所要時間と回数
調停は1回で終わることは稀で、1か月から1か月半に1回のペースで複数回行われるのが一般的です。
1 調停室の運び方
期日当日は、申立人と相手方は別々の待合室で待機し、交互に調停室へ呼ばれて自分の主張を伝えます。直接対面することは原則ありません。1回あたりの所要時間は2〜3時間程度で、双方それぞれ30分前後ずつ調停委員と話し、それを2〜3往復するイメージです。DVや高葛藤のケースでは、入退館の時間をずらす配慮も家庭裁判所に申し出ることができます。
2 服装・話し方・持参物の実務
服装は華美すぎない平服で問題ありません。スーツである必要はないものの、ジーンズや派手な装いは避け、清潔感のある服装が無難です。話し方は感情的にならず、できるだけ事実と希望条件を分けて伝えるのがコツです。事前に主張をまとめたメモを1〜2枚用意し、源泉徴収票や子どもの学費資料と一緒に手元に置いておくと整理しやすくなります。

3 期日と期日のあいだにすること
期日と期日のあいだは1か月以上空くことが多く、この間に追加の収入資料を提出したり、相手方の主張に対する反論書面を整理したりします。「期日に出席して終わり」ではなく、期日のあいだに準備を進めることが調停を早期に終結させるポイントです。子どもの進学や生活費の変動など、新たに発生した事情があれば次回期日までに書面で家庭裁判所に提出します。
所要期間の目安|短期型と長期型
養育費調停の所要期間は事案により大きく異なります。一般的な目安は次のとおりです。
| 類型 | 期間 | 特徴 |
|---|---|---|
| 短期型 | 3〜6か月(2〜3回期日) | 双方の収入が明確で算定表通りに合意 |
| 中期型 | 6か月〜1年(3〜6回期日) | 自営業・特別支出・終期で調整が必要 |
| 長期型 | 1年〜(6回以上) | 相手が出頭しない・収入を開示しない・面会交流と紐付いて争う |
給与所得者同士で算定表通りの合意であれば半年程度で着地する一方、自営業の所得認定、子どもの私立進学、終期の取決め、面会交流との関連付けなど論点が増えるほど長期化します。相手方が期日に出頭しない事案では、調停不成立として早期に審判へ切り替える運用も検討されます。
株式会社MRの現場から|養育費調停で揉める3類型
株式会社MRは2003年の創業以来、配偶者問題に関するご相談を30万件以上お受けしてきました。離婚調停・養育費調停に発展した事案を整理すると、揉め方は次の3類型に集約されます。一般的な傾向ですので、ご自身の状況と照らしてご活用ください。
1 金額対立型|算定表の数字を巡って争うケース
最も多いのが、算定表の数字を巡って争うケースです。義務者側が「自分はそんなに払えない」と主張し、権利者側が「子どもの実際の費用に足りない」と反論する構図です。
このタイプは、収入資料を客観的にそろえることで決着しやすいのが特徴です。源泉徴収票・課税証明書・確定申告書の写しを双方が提出し、算定表のセルを特定すれば、調停委員から「この範囲での合意が現実的」と整理されます。義務者が自営業の場合は所得金額の認定が論点になりやすく、税理士の関与や青色申告決算書の精査が必要になることもあります。
2 履行確保型|「決めても払わない」リスクをどう抑えるか
養育費は「金額が決まる」よりも「継続して支払われる」ことの方が難しい、というのが現場の実感です。厚生労働省「全国ひとり親世帯等調査」では、養育費の取決めをしている世帯であっても継続して支払いを受けられている割合が低いとの調査結果が長年指摘されており、未払い率の高さは社会的な課題となっています。
調停の場で履行を確保するための工夫として、次の点を盛り込めるよう調停委員に相談しましょう。
- ●支払口座・支払日を調停調書に明記する
- ●ボーナス時の加算や、子どもの進学時の特別費用負担を明記する
- ●支払いを2回連続で怠った場合に給与差し押さえに移行できる旨を確認する
調停調書に明記された金額・支払時期は、強制執行の根拠(債務名義)になります。後述する強制執行・情報取得手続と組み合わせることで、履行確保の道筋が立てられます。
3 相手所在不明型|住所・勤務先が分からないケース
離婚後に相手方が転居や退職を繰り返し、住所も勤務先も把握できないケースです。住民票の附票・戸籍の附票を取り寄せれば住所追跡は可能で、転居が複数回ある場合も時系列で追えます。離婚後10年以上経過していても、戸籍の附票で過去の住所履歴を辿れる運用が一般的です。
勤務先の特定が難しい場合は、後述する民事執行法改正による第三者からの情報取得手続を検討します。調停調書という債務名義があれば、市町村や年金機構を通じて勤務先情報を取得できる制度が整備されています。
当社にいらっしゃる方の8割は、最初は「証拠を集めてほしい」というご相談です。一般的には、配偶者のスマートフォンを無断で見ることや、住居侵入を伴う調査は違法(不正アクセス禁止法違反、刑法130条住居侵入罪)にあたる可能性があります。問い詰めない、自分で調査しない。これは養育費の履行確保にも当てはまります。適切な手順を踏むことで、調停の場や強制執行の場面で証拠の証拠能力が保たれます。
調停成立・不成立それぞれの行方
1 調停成立|調停調書の作成と効力
双方が合意に至ると、その内容は調停調書として作成されます。調停調書は確定判決と同一の効力を持ち(家事事件手続法268条1項)、相手方が支払いを履行しない場合は、調停調書を債務名義として強制執行が可能です。調停成立の日が確定日となり、その後数週間で調書の正本・送達証明書を取得できます。
調停調書には、養育費の月額、支払日、支払口座、支払期間(始期・終期)、特別費用の取り扱いなどを明記します。後で「言った・言わない」にならないよう、調停委員に読み上げてもらう確認時間を必ず確保しましょう。
2 調停不成立|審判への自動移行
合意が成立する見込みがないと調停委員会が判断した場合、調停は不成立で終了します。養育費については、調停不成立後に自動的に審判手続へ移行する運用が一般的です(家事事件手続法272条4項)。審判では、家庭裁判所が双方の提出資料に基づいて養育費の金額を決定します。算定表ベースの判断となることが多く、調停で出した資料がそのまま審判の判断材料となります。
審判結果に不服がある場合は、審判書送達から2週間以内に即時抗告を申し立てることができます。即時抗告がなければ審判が確定し、確定した審判書も調停調書と同じく強制執行の債務名義になります。
3 取下げ・額の変更
調停は途中で取下げることもできます。話し合いの方向性が見えてきて協議で決着できそうなら、調停を取下げて協議に切り替え、合意内容を公正証書にする選択肢も実務上はよく取られます。公正証書も「強制執行認諾文言」を入れておけば差し押さえの債務名義として使えます。
調停が成立した後に、義務者の収入が大きく減った(失業・長期休職等)または子どもの進学等で増額が必要になった場合は、養育費の額の変更調停を改めて申し立てることができます。事情変更が客観的資料で示せることが要件です。
調停成立後の履行確保|未払い時の強制執行
調停調書があるのに相手方が支払いをしない場合、強制執行で財産を差し押さえる選択肢があります。養育費の強制執行は他の債権よりも優先される仕組みが整備されており、知っておく価値があります。
1 養育費の強制執行に必要な書類
- ●調停調書の正本
- ●送達証明書(相手方に調書が送達されたことの証明)
- ●執行文(裁判所書記官に申請して付与してもらう書面)
- ●強制執行申立書(地方裁判所で入手)
- ●相手方の財産に関する情報(預金口座、勤務先、不動産所在地など)
2 給与差し押さえの特例|将来分も差し押さえ可能
通常の金銭債権では、強制執行は支払期限を過ぎた未払い分にしか及びません。しかし、養育費等の扶養義務に係る金銭債権では、1回の差し押さえで将来分の養育費も継続的に差し押さえられる特例があります(民事執行法151条の2)。たとえば月10万円の養育費が3か月未払いになって差し押さえを申し立てた場合、過去未払い30万円だけでなく、将来発生する月10万円も給与から継続して天引きされる仕組みです。
また、給与差し押さえの上限も手取りの2分の1までと通常の4分の1より広く認められています(民事執行法152条3項)。これは扶養を要する子どもの保護を重視した法政策です。
3 第三者からの情報取得手続|養育費未払いに有効
2020年4月施行の民事執行法改正により、第三者からの情報取得手続が拡充されました。調停調書を持って裁判所に申し立てると、次のような情報を裁判所経由で取得できます。
- ●預貯金情報(金融機関に対する照会)
- ●勤務先情報(市町村・日本年金機構に対する照会)
- ●不動産情報(登記所に対する照会)
養育費債権は、上記のうち勤務先情報の取得が特に有効です。市町村は給与支払報告書を保有しており、年金機構は厚生年金の被保険者情報を保有しているため、相手方の現在の勤務先が判明することがあります。勤務先が分かれば、給与差し押さえに進むことができます。
調停成立はゴールではなくスタートでもあります。一般的には、調書を作って終わりだと安心してしまい、相手の支払い能力や勤務先の確認を怠るケースが見られます。調書ができたら、送達証明書と執行文の取得まで一気に進めておきましょう。書類は数年経つと再取得に時間がかかります。
弁護士に依頼すべきか|本人申立てとの判断軸
養育費調停は本人申立てが可能で、申立書の書式や記入例は裁判所ホームページに掲載されています。とはいえ、次のような事情がある場合は弁護士への相談を強くおすすめします。
- ●義務者が自営業で所得認定が複雑
- ●相手方に弁護士が就いている
- ●義務者の収入が高額で算定表の上限を超える、または役員報酬・配当・賃料収入が加わる
- ●DV・モラハラがあり、対面での主張整理が難しい
- ●海外居住者・海外送金が絡む
- ●養育費未払いで差し押さえまで一気に進めたい
弁護士費用は事案により幅がありますが、着手金10〜30万円、報酬金は獲得額(または増額分)の10〜16%程度が目安として案内されることが多い領域です。法テラスの民事法律扶助(収入要件あり)を利用できるとひとり親世帯の費用負担を抑えられます。法テラス(日本司法支援センター)や各地の法律相談センター、ひとり親家庭支援センターへ早めに相談することで、本人申立てか代理人選任かの判断材料が揃います。
弁護士に依頼するか迷う場合は、調停の最初の1〜2回は本人で出頭してみて、論点の見極めができた段階で代理人を選任する「ハイブリッド型」も実務的な選択肢です。算定表の範囲で着地しそうなら本人で完結し、自営業の所得認定や相手の高葛藤対応で行き詰まったら弁護士を入れる、という運用です。法律相談は30分5,500円程度で受けられる事務所が多く、初回相談の活用は決断のハードルを下げてくれます。
申立て前にやっておきたい準備チェックリスト
最後に、養育費調停の申立てを決めたら、提出前に揃えておきたい準備を整理します。
- ●申立人の収入資料(源泉徴収票、給与明細3か月分、確定申告書控え)
- ●相手方の収入資料(取得できる範囲。婚姻中の源泉徴収票コピー等)
- ●未成年者・申立人・相手方の戸籍謄本
- ●子どもの学費・医療費・特別支出が分かる領収書
- ●算定表で自分の事案のセルを事前に確認したメモ
- ●主張する金額・支払日・支払口座・終期の希望条件メモ
- ●相手方の住所・勤務先・連絡先(分かる範囲で)
書類が揃わないまま申立てに踏み切ると、第1回期日で「資料を揃えて次回」となり期日が無駄になりがちです。申立ての精度がそのまま期間短縮に直結するため、準備時間は惜しまないことをおすすめします。
「証拠は撮った後が大切」とお伝えしてきました。養育費調停も同じで、揃えた資料をどう使うかが結果を分けます。一般的には、提出のタイミングを誤ると不利な印象を与えることもあります。資料の整理・優先順位付けに迷ったら、調停申立て前の段階で弁護士の30分相談を活用するのが現実的な第一歩です。早期発見、早期解決が心の傷を浅くする鍵、というのは養育費の問題でも変わりません。
まとめ
養育費調停は、父母の協議で決着しない養育費を、家庭裁判所の場で決着させる手続きです。申立費用は子ども1人あたり収入印紙1,200円+郵券で、必要書類は戸籍謄本・収入資料・子どもの状況がわかる資料など多岐にわたります。期日は1〜2か月に1回のペースで、所要期間は短期で半年、長期で1年以上。算定表で双方の年収から月額の目安を確認し、特別な事情があれば根拠資料とともに増減を主張します。
合意に至れば調停調書という強力な債務名義が手に入り、不成立なら自動的に審判へ移行します。未払いが発生した場合は、給与差し押さえの将来分特例や第三者からの情報取得手続を活用して履行を確保することができます。問い詰めない、自分で調査しない。適切な手順を踏むことが、結果として最短で確実な解決につながります。
本記事は一般的な法的情報を提供するものであり、個別の法律相談ではありません。実際の事例については弁護士にご相談ください。また、法令は記事執筆時点のものであり、改正により変更される可能性があります。
当記事の監修者
- 氏名
- 岡田 真弓
- 経歴
-
1968年東京都生まれ
2003年総合探偵社・株式会社MRを設立
2008年MR探偵学校を開校し、学長に就任
2016年一般社団法人日本ライフメンター協会を立ち上げ、代表理事に就任
2017年こころテラス株式会社を設立
- 紹介文
探偵業の現場で培った経験をもとに、「探偵の現場」や「夫を夢中にさせるいい妻の愛されルール」等の書籍を発売。
また、ビジネスリアリティ番組「令和の虎」にも出演し、あらゆるメディアを通じて、調査の実態や夫婦関係の在り方を伝えています。
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