離婚養育費に時効はある?時効成立を防ぐ方法や未払い分を回収するための手段とは

養育費の支払いには時効が存在するのをご存じでしょうか?

未払いが続き、一定期間が経過すると時効の扱いとなって支払いの義務が消滅してしまいます。そのため、養育費を受け取る債権者は、時効が成立しないように対策を講じる必要があるでしょう。

そこで本記事では、養育費の時効を先延ばしにする方法や、未払いを防止するポイントについて解説します。すでに未払いに悩んでいる方や、未払いが続いて事項を気にしている方はぜひ参考にしてみてください。

養育費に時効はある?

結論から言うと、養育費には時効があります。まずは、次項に関する内容が記載されている条文を確認してみましょう。

(債権等の消滅時効)
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
(略)

引用:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

条文にあるように、養育費は債権者が権利を行使できることを知った時から5年間行使しないと、時効になってしまいます。また、権利を行使できることを知らなくても、行使できる時から10年で時効によって消滅します。

そのため、養育費の未払いが続いていると悩んでいる方は、まず権利を行使できる時からどのくらいの期間が経っているかを知る必要があるでしょう。

養育費の時効期間を先延ばしにする方法

養育費の時効が迫ってしまっている方や、時効への対処法を知りたい方は、“先延ばしにする方法”を押さえておきましょう。具体的な方法としては、以下の4種類があります。

  • 催告する
  • 裁判・調停を申し立てる
  • 財産を仮差し押さえする
  • 強制執行する(公正証書がある場合)

また、先延ばしには「更新」と「完成猶予」があります。更新は「そこから新たに5年、もしくは10年の時効期間が開始すること」、完成猶予は「強制執行などが完了するまでの間、時効の期間が進行しないこと」を意味します。

ちなみに、更新と猶予が適応されるものは以下の通りです。

更新
  • 裁判上の請求等が確定判決などによって権利が確定した際
  • 強制執行が終了した際
  • 完成猶予
  • 裁判上の請求等が終了するまで
  • 強制執行や担保権の実行等が終了するまで
  • 仮差押えや仮処分が終了したから6か月間
  • 催告時から6ヶ月間
  • 基本的には、養育費に関する強制執行等が終了すれば更新されるため、期限が近い方はまず申し立てるところから始めるのが良いでしょう。

    催告する

    時効を先延ばしする方法の一つに“催告”があります。催告とは、裁判所を介さずに養育費の支払いを請求することです。内容証明郵便を相手に送ることで成立し、催告することによって6か月間は完成猶予によって時効期間が延長します。

    6か月あれば、強制執行などの申し立てをする準備もできるので、時効期間が迫っている方にはおすすめの方法と言えるでしょう。

    裁判・調停を申し立てる

    裁判・調停の申し立てとは、裁判を提起して養育費の請求を申し立てることを意味します。申し立てをして裁判を起こすと、その時から6か月間は完成猶予によって時効期間が延長します。

    また、裁判で判決が出て確定すると、その日から時効が更新されるため、新たに時効期間を設けることが可能です。

    財産を仮差し押さえする

    財産の仮差押えとは、養育費を差し押さえる前に相手が財産を隠すことを防ぐ処理のことです。裁判での結論が出ていない場合に行なうのが一般的で、裁判で勝訴すれば仮差し押さえした財産を取得できます。

    仮差し押さえは、手続き終了後から6か月間完成猶予によって時効が延長します。そして、裁判が終了して差し押さえが完了したら更新によって、時効期間が再度設けられる流れです。

    強制執行する(公正証書がある場合)

    強制執行とは、債務者の財産を差し押えて債権者に分配することで債権者に養育費を回収させることを指します。強制執行を行う際、強制執行について記載された公正証書があれば、裁判をせずとも強制執行を行うことが可能です。

    強制執行を行うと時効が更新されるため、そこから再度5年以上の時効期間を設けることができます。また、時効の更新は一度きりでは無いため、養育費を十分に払ってもらえていない場合には強制執行を行うことで、何度も更新することが可能です。

    もちろん、相手に差し押さえる財産や債権が無ければ養育費を回収することは難しいですが、長い目で見て最終的に必要分の養育費を回収しようとしている場合には、強制執行などによる時効の更新は効果的と言えます。

    時効が成立しても養育費は請求できる


    時効が万が一成立してしまった場合、養育費を請求する基本権が消滅してしまうため、裁判所などを介した公的な請求ができなくなります。ただ、時効が成立しても個人的に相手へ養育費の支払いを請求すること自体はできるので、話し合うこと自体は不可能ではありません。

    もちろん、時効が消滅している以上は、強制執行等の処理をすることはできないため、合法的に相手の財産から養育費を回収すること自体は難しいのが現実です。今まで、相手が払わないで来たことを踏まえると、養育費を払ってもらえる可能性は決して高いとは言えない点は、理解しておく必要があるでしょう。

    養育費の未払いを防止するためのポイント


    養育費の時効を先延ばしする方法についてここまで解説してきましたが、未払いを防ぐことができれば時効を気にする必要はありません。完璧に防止することができるわけではありませんが、時効に振り回されないようにするためにも、以下の防止ポイントを押さえておきましょう。

    • 書面で取り決めを行う
    • 公正証書に強制執行を認める文言を記載する
    • 調停調書があれば履行勧告できる

    書面で完璧な防止が実現するわけではありませんが、書面強制執行を認める内容があったりすれば、強制執行を裁判せずに実行できますし、比較的ラクに時効の更新に繋げることができるでしょう。

    書面で取り決めを行う

    養育費の未払いを防止するためには、法的に有効となる合意書を作成するのが効果的です。公正証書でなくても、専門家のアドバイスの下、合意書としての効力を持つ書面を作成すれば、未払いの防止に繋がります。

    注意点として、法的な効力を持つ書面を作成する際は、必ず専門家の力を借りるようにしてください。自身で作成すると、効力を持たない書面になってしまうことも考えられるので、養育費の未払いを防ぐためにも、自身で作成しないようにしましょう。

    公正証書に強制執行を認める文言を記載する

    公正証書とは、裁判官などの公証人が作成した書面のことです。公正証書には証明力があり、信頼性に優れた法的な効力を持つ書面とされています。

    公正証書に強制執行を認める文言(強制執行認諾条項)が記載されていれば、本来、裁判で確定判決を受けなければ行なえない、給与や口座の差し押さえといった“強制執行”の申し立てが直ちに行えるメリットがあります。逆に強制執行に関する文言が無ければ、裁判所で確定判決を受けるまでは強制執行を行うことができません。

    調停調書があれば履行勧告できる

    調停調書とは、離婚調停内で協議した内容が記載されている書面で、確定判決と同じ効力を持ちます。調停調書に記載された内容に反して養育費を相手が支払わなかった場合、履行勧告をすることが可能です。

    履行勧告とは、裁判所が相手に連絡を取って養育費の支払いを直接促してくれるサービスになります。履行勧告自体には、支払いに関する法的な効力はありませんが、裁判所から連絡してもらうことで相手に支払いの義務感を与えることができ、未払いを防ぐことに繋がるでしょう。

    養育費の取り決めをしていなかった場合はどうする?

    養育費の取り決めをしていなかった場合、相手方と話し合いのうえで支払いを求めることはできます。相手が支払いに応じた場合は、公正証書を作成して養育費の支払いをしてもらうことになるでしょう。

    一方で、相手が養育費の支払いに応じなかった場合は、基本的に養育費の支払いを認めてもらうことが難しいです。裁判所に申し立てて協議することも可能ですが、その時点まで子供を養ってこれたという実績があると、相手の負担を考慮して認められない可能性があります。

    まとめ

    養育費の支払いには時効があります。債権者が権利を行使できると知った時から5年間、もしくは権利を行使することができる時から10年間が時効になる期間です。

    時効があることを知らない場合、状況によっては時効間際で養育費の未払い分を請求しなくてはいけないケースもあるかもしれません。そんな時には、本記事で紹介している時効を先延ばしする4つの方法を検討してみてください。ちなみに、強制執行を認める旨が記載されている公正証書がある場合には、裁判所の判決を待たずに強制執行を行うことができます。

    また、これから離婚をする方や、養育費についての取り決めをする方は、必ず書面を残しておきましょう。法的効力のある書面で養育費に関する内容を残しておくことができれば、未払いが発生した際に活用できます。また、書面を残しておくだけでも未払いを防止することに繋がるでしょう。

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